日本人の関口氏が技術顧問を務めるバランス工房。
今回はそのバランス工房のインソール、B-TR TRY(ビートレ トライ)を解説していきます。
三点支持を中心とした三点バランス保持理論が特徴の製品で、他にはなさそうな理論となっているインソール。
どのような人に適しているのかを中心に解説していきます。
アーチ保持はしない
基本的にどなたでも使用できるタイプのインソールで、ある程度健康的な全年齢の男女であれば問題なく使用できます。
サポートは主にアーチタイプでは別れておらず、足部に効果的なサポートをかける製品ではありません。
むしろ足部に負荷をかけるインソールであるため、現在既に足に問題があると感じている方にはあまり適さない商品と言えます。
バランス能力向上に期待
拇趾球、小趾球、踵骨の3点で立つ、基本的姿勢を意識させるインソールで、バランスよく3点で立つことでアーチの活性化が促される商品です。
基礎的な考え方として、他のインソールの多くが支えることで症状の緩和を図っていますが、B-TR TRYは自身の筋腱の活性化、いわば酷使状態を半ば強制的に引き起こすインソールです。
そのため、このインソールが緩和できる可能性が高い症例はありません。
普段履きからスポーツにまで対応
圧縮ウレタンとメッシュ構成から、主に普段履き、ランニング等のスポーツも可能なインソールと言えます。
加えて厚み4mm、アーチや骨格サポートの凹凸が無いため、内容積の少ないスポーツシューズにも入りやすい設計です。
ただし、上位品番に表面を滑りにくく起毛させたB-TR MASTERがあるため、激しい動きのあるスポーツではそちらの方がより適しています。
トレーニング目的時に入れるインソール
足を酷使させるインソールになるため、足裏の筋力を鍛えたいシーンで使う事が望ましいインソールと言えます。
ある程度健康であり、普段から足裏を鍛えたい、バランスを向上させたい方の普段履きや、トレーニングシューズに適した商品です。
足に問題のある人には不向き
足部を酷使させることになるインソールであるため、既に足に痛みがある、足首含め大きめの怪我をしたことがある人には不向きです。
特に靭帯の緩みから端を発するアーチの低下、そこに付随する問題に関しては悪影響を及ぼしかねないため、使用には注意が必要です。
あくまで自力を鍛えるタイプのインソールで、鍛える前に保護、補助が必要な方には適しません。
B-TR TRYの理論
B-TR TRY、バランス工房から販売されているインソールの理論は、三点バランス保持理論が基礎となっています。
アーチを支える、骨格を支える、刺激を与える、歩行を誘導するといったインソールではなく、人間本来持つ拇趾球、小趾球、踵骨で立つという基本的な考えをインソールに落とし込んだものとなっています。
そのため、3点で半ば強制的に立たせられるよう、踵骨、拇趾球、小趾球に厚みを持たせているのが特徴。
接地点になるため、踵骨、拇趾球、小趾球部は他部位よりも若干柔らかく、反発するように出来ているのも工夫の一つです。
足底部の方にはわずかに空間を設けていますが、アーチの自然な動きを引き出す仕様ではなく、あくまで三点支持を追求した結果生まれている空間に。
この人間本来が立つために必要な3つの骨格接地点で強制的に立たせることで、バランスが良くなり、アーチの自然な動きも生まれるというのがB-TR、バランス工房のバランス保持理論と言えます。
加えてアーチ部の動きが活性化されることで、足裏のポンプ機能が働きやすくなり、血流促進効果が期待できるという二次的な効果もあります。
このように一見素晴らしい理論かのように思えますが、いくつか落とし穴があります。
このバランス保持理論、3点支持理論は筋力低下によるアーチの低下に対しては効果が期待できる可能性が考えられますが、靭帯損傷、伸長による足部の問題は解決できない、悪化させる可能性が考えられるという事です。
靭帯に関しては鍛えて安定性が増す、強度が増すという事はあまり考えられにくく、既に靭帯由来の問題を抱える人にとっては、アーチ部の酷使が余計に負担になる可能性が考えられます。
例えば踵骨の内反、外反、内転、外転、過剰前傾抑止のコントロールは全くなく、加えて立方骨の低下防止、載距突起部の低下防止も無いため、足部の回内、回外に対するサポート、コントロールはありません。
これを自身の筋力だけでコントロールできるのであれば良いのですが、実際には靭帯の貢献度合いも高い印象で、筋肉だけで全てを賄う事は不可能かと思われます。
勿論掲載されている通り、アーチ部の動きを阻害するようなインソールは足部に対して弊害になり得ますが、一方で酷使しすぎるケースになると問題につながることが考えられます。
また、三点支持理論はそのオーソドックスさから、他インソールメーカーでも大いに取り入れられています。
多くはその三点支持を用いながら、載距突起、立方骨、加えてアーチ部へのサポートを取り入れているメーカーが多く、過剰なアーチサポートは害悪となることから、ラインナップを拡充している所が多い所感です。
そのため、三点支持というオーソドックスな所のみを抜き出したピーキーなインソールが、今回のB-TRというインソールになります。
余談ですが、インソールのベースには圧縮ウレタンを使用していることで、硬めの質感に仕上がっているのは特徴的な所。
3点で立つ為にも、柔らかすぎると不安定性を生み出すため、硬めに仕上げているのは良い所でしょう。
また、表面材にはメッシュ素材を用い、適度な引っ掛かりと爽やかさを追求した仕上がりです。
B-TR TRYの選び方
基本的には靴、シューズのサイズと同じサイズを購入し、つま先に余分があればハサミ等でカットして頂ければ問題ないかと思います。
加えて、下記項目も重要であり、
- 拇趾球、小趾球、かかとにちゃんと乗っているか
- インソールから過度に足がはみ出さないか
といった項目も大切になります。
実際に使ってみた
筆者も実際にB-TR TRYを使用してみました。
硬めの質感で、拇趾球、小趾球、踵骨の3点に注意のいく仕上がりという所感です。
主に普段の歩行やランニング、フィットネスといった動作であれば概ね問題ない感触で、アーチ部の動きを阻害するような事は全くありません。
バランス的な面に関しては、面白い機構だとは思いますが、顕著には感じられない所感です。
シューズに対してはどのようなシューズにも対応しやすい所で、シューズの履き心地を変えにくいのは良い所であるかと思われます。
足部に問題がなく、普段から鍛えたいという方にとっては、候補になるかもしれない一枚と言えます。
まとめ
三点支持理論で足を鍛えるインソール、B-TR TRYの解説は以上となります。
足部を酷使しやすいインソールで、アーチ、筋腱をより鍛えたいという方に適したインソールであるのが特徴。
価格的には中価格帯になりますが、気になる方は検討してみてはいかがでしょうか。
※下記インソールの基礎編も良ければご確認ください
https://insole.xyz/insolebasic/foot-arch/
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